導入:名作続編を襲った炎上騒動
2025年10月2日、PlayStation 5独占タイトルとして発売された『Ghost of Yōtei(ゴースト・オブ・ヨウテイ)』。 前作『Ghost of Tsushima(ゴースト・オブ・ツシマ)』の成功を受け、北海道・羊蹄山を舞台にしたオープンワールドアクションアドベンチャーとして期待された本作。しかし、発表直後からポリコレ(政治的正しさ)批判、声優選定問題、そして発売直前の開発者不適切投稿による大炎上が相次いだ。 これらの騒動は、ゲーム業界のイデオロギー対立を象徴するものとなった。売上は初動でパッケージ12万本を記録し、デジタル含め好調を維持したが、炎上は不買運動を呼び、海外を中心に議論を呼んだ。

前作『ゴースト・オブ・ツシマ』の成功と続編の概要
2019年に発売された『ゴースト・オブ・ツシマ』は、鎌倉時代末期の対馬を舞台に、侍・境井仁の復讐劇を描いた。美しい日本風景、ステルスと剣戟の爽快アクション、黒澤明監督風の演出でMetacritic 83点を獲得。累計売上2,000万本超のメガヒット作となった。
『ゴースト・オブ・ヨウテイ』は1603年の江戸時代初期、羊蹄山周辺を舞台に設定。主人公は女性浪人「篤(あつ)」。家族を失った彼女が「羊蹄六人衆」と呼ばれる悪党集団に復讐する物語だ。新武器として長槍、鎖鎌、双刀が追加され、黒風モード(ステルス強化)も進化。開発はSucker Punch Productions、発売元ソニー・インタラクティブエンタテインメント。
炎上1:女性主人公「篤」とポリコレ批判(2025年4月頃)
最初の炎上は、主人公が女性である点に集中した。トレーラー公開後、海外反ポリコレ派から「侍は男性のはず」「前作の仁を女性に置き換えたのはDEI(多様性・公平性・包摂)の強要」と非難殺到。
歴史的に女性侍(女剣士)は存在したが稀少。批判派は「日本文化の改変」と主張。一方、擁護派は「フィクションの自由」「多様な主人公で新風」と反論。ソニー前CEOは「気に入らないなら買うな」と一蹴したが、火に油を注いだ。
日本国内では反応薄く、「ゲームなんだから問題ない」との声が多数。実際、発売後レビューでは「女性主人公が違和感なくハマる」と高評価。
炎上2:英語版声優エリカ・イシイの過去発言とANTIFA疑惑
篤の英語版声優・フェイスモデルを務めるエリカ・イシイ氏は、LGBTQ+活動家として知られる。BLM支持や「警察廃止」発言が掘り起こされ、「ANTIFA(反ファシスト運動、テロ指定疑惑)」とのレッテルが貼られた。
YouTubeで「ポリコレ汚染」との動画が拡散。イシイ氏の妻の投稿も燃料に。批判は「ゲームに政治を持ち込むな」へ発展。一方、イシイ氏は「多様性を表現しただけ」と釈明。日本語版声優はファイルーズあい氏で、こちらに問題なし。
この騒動は、ゲームキャストの私的意見が作品評価に直結する現代のSNSリスクを露呈した。
炎上3:開発者ドリュー・ハリソンの不適切投稿と解雇(2025年9月)
最大の炎上は発売直前。Sucker Punchシニアキャラクターアーティスト、ドリュー・ハリソン氏がBlueskyに投稿。「犯人の名前がマリオだったらいいのに。ルイージは兄が味方だとわかる」と。
これは、保守派活動家チャーリー・カーク氏の講演中銃撃死(2025年9月10日、ユタ州)を嘲笑。2024年のCEO射殺犯「ルイージ・マンゾーネ」とのマリオブラザーズジョークで、不謹慎極まりない。過去のCEO殺人事件も絡め、反右派の政治的スタンスが露呈。
投稿後、ハリソン氏は「雇用主にメールより銃規制を」と強硬姿勢。72件の着信を公開し、「反ファシズムの夢の仕事でも失う覚悟」と。SNSで不買・返金要求が殺到、Sucker Punch公式アカウント炎上。
9月11日、ハリソン氏解雇。スタジオ頭脳ブライアン・フレミング氏は「殺人を軽視するのは許さない」とコメント。ソニーは沈黙を守ったが、発売は予定通り。
炎上のタイムラインとSNS拡散のメカニズム
| 日付 | 事件 | 反応 |
|---|---|---|
| 2025/4 | トレーラー公開、女性主人公判明 | 反ポリコレ動画拡散、YouTube再生数急増 |
| 2025/9/10 | カーク氏銃撃死 | – |
| 2025/9/11 | ハリソン投稿・解雇 | 不買宣言相次ぐ、Xでトレンド1位 |
| 2025/10/2 | 発売 | レビュー爆発、売上好調もボイコット継続 |
炎上は右派YouTuberのアルゴリズム活用で加速。ネガティブ情報が6倍拡散する心理を突いた。
ゲーム本編の評価:炎上を越えたクオリティ
発売後、Metacritic 87点。マンガ家サダタロー氏は「メチャクチャ面白いのに残念」と絶賛。戦闘進化(新武器、多段コンボ)、広大な北海道マップ、Ainu文化描写が好評。
欠点はストーリーの前作比劣勢だが、探索・アクションでカバー。初月売上330万本超、前作超え。
業界・社会への影響:政治とエンタメの境界線
この炎上は、Gamergate 2.0と呼ばれ、DEI推進 vs 伝統派の対立を象徴。ソニーは沈黙策でダメージ最小化したが、開発者SNS管理の重要性を再認識。
日本では「スルーしろ」と冷静。海外不買は一部に留まり、売上証明。
開発者側の対応と今後の教訓
Sucker Punchは解雇で迅速対応。フレミング氏インタビューで「政治的軽視はNG」と明言。 教訓:私的発言の公私混同回避、事前トレーニング強化。
結論:ゲームを楽しむ視点で
『ゴースト・オブ・ヨウテイ』の炎上は政治的対立の産物だが、本編クオリティは折り紙付き。ポリコレか伝統か、個人の価値観次第。名作続編として、騒動を乗り越え歴史に残る一本だ。